学生アスリートの「ゆるオフ × 締めるところ」セルフケア「年末年始ぐらい、完全オフでしょ。」そう思う自分もいる一方で、「ここでダラッといくと、春先に響くんだよな…」とどこかで分かっている方も多いはず。とはいえ、ずっと全力で走り続けているだけでは、カラダもメンタルも、どこかでガタがきます。大事なのは「抜くところは抜く。でも、締めるところは締める」 というメリハリ。本記事では、強豪を目指す/すでに強豪で戦っている学生アスリートの皆さんに向けて、年末の「締め方」、年始の「立ち上がり方」をお伝えします。目次なぜ年末年始で「強豪ほど差がつく」のか?年末の「締め方」── 今年の自分にケジメをつける食事と腸のケア ── 年末年始こそ「整えるごはん」オフの取り方 ── 強豪でも「ちゃんと休む」のが前提メンタルセット ── 「気を抜かないけど、追い込みすぎない」年末年始へまとめなぜ年末年始で「強豪ほど差がつく」のか?どの競技でも、年末年始は練習量が一時的に落ちる時期です。言い換えれば、全員が一度ブレーキを踏むタイミングでもあります。この期間に、生活リズムが完全に崩れてしまう人と、次に「つなぐ準備」をしておく人とでは、1〜2月の動きやすさがまったく変わってきます。ある程度のレベルに達すると、勝敗を分けるのは「才能」や「センス」そのものより、準備や習慣の差です。だからといって、オフに毎日ハードなトレーニングを詰め込めばいいわけではありません。むしろ、「オフにするところ」と「最低限キープするところ」を自分で決めておくこと。ここに、強豪らしい年末年始の過ごし方のポイントがあります。年末の締め方 ── 今年の自分にケジメをつけるまず整えたいのは、「年末をどう締めるか」。年末の過ごし方が曖昧になると、そのまま年始までダラッと流れやすくなります。1.「今年のベスト3」を書き出す「できなかったこと」ばかりに振り返りがちになりますが、あえて「うまくいった場面」「成長できたところ」などよかったことを3つ書き出してみてください。今年のプレーで良かったシーン、去年より確実に良くなったと感じるポイント。「この一年で自分は何を伸ばせたのか」を言葉にしておくと、来シーズンの強化ポイントも明確になります。もちろん、細かい数字や反省点がいらないわけではありません。 ただ、いきなりマイナスから入ると自己否定モードになりやすいので、ベスト3を書いたあとに、数字や反省を重ねるのがおすすめです。例えば、今年のスタッツやタイム・記録ケガ・体調管理でうまくいかなかったところなどを、「来年に向けた課題ベスト3」として一緒にメモしておくイメージです。2. 来シーズンの「一言テーマ」を決める細かい数字目標よりも先に、「来年の自分を一言で表すテーマ」を作ってみましょう。例えば「フィジカルの土台をつくる一年」「メンタルで崩れない一年」「基礎を雑にしない一年」など。うまくいかない日が来たとき、このひと言が「今年、大事にすること」を思い出させてくれる“軸”になります。3. 練習最終日に「しっかりやり切る」シーズン最後の練習を流れで終わらせてしまうのはもったいないので、ラストセットをいつもより丁寧にやり切る、最後の1本を「今シーズンのベストイメージ」で終える、そんな小さなこだわりで十分です。「ここで一度、区切ったな」という感覚を持ったまま年末に入ると、年始の立ち上がりもスムーズになります。食事と腸のケア ── 年末年始こそ「整えるごはん」オフは、どうしても外食・コンビニ・お菓子が増え、食生活は乱れがちになります。だからこそ、「全部整える」よりも「ここだけは守る」ポイントを決めておくのが現実的。1. 1日1回の「ちゃんとごはん」を死守するすべての食事を完璧にしようとしなくて大丈夫。朝・昼・夜のどこか1食だけターゲットを決めてください。主食 ── ごはん・パン・麺主菜 ── 肉・魚・卵・大豆製品副菜 ── 野菜・海藻・きのこが、1食でそろっていればOK、というルールにしてしまいましょう。それだけでも、エネルギー・たんぱく質・ビタミン・ミネラルを一度はきちんと入れて、コンディションの落ち込みをかなり防ぐことができます。2. 腸をいたわる「プチ習慣」をひとつ決める腸の状態は「お通じ」だけでなく、ストレスや気分とも関係すると考えられています。海外の試験では、ガラクトオリゴ糖などのプレバイオティクス(腸内細菌のエサになる成分)を数週間とることで、ストレスホルモンや不安傾向がやわらいだという報告があり1)、日本でも乳酸菌飲料を一定期間とることで、試験ストレス下の日本人医学生で身体症状やおなかの不調が出にくくなったという報告があります2)。とはいえ、難しいことを増やす必要はありません。例えば、朝ならヨーグルト+バナナ夜はごはんに納豆を一品プラス汁物は具だくさん味噌汁にしてみるといった「腸にやさしい組み合わせ」のどれか1つだけを「年末年始は毎日入れる」と決めてみてください。「今日はちょっと体が軽い」「気分が安定している」と感じる日が、じわじわ増えてくるはずです。楽しむときは楽しむ。その代わり、1日1回は腸を整えるメニューを入れる。 このくらいのゆるいルールでも、冬のコンディションの落ち方は大きく変わります。3. お菓子は禁止ではなく「時間」と「量」でコントロール食べる時間帯は15〜17時だけOK、量は小皿1枚分まで、などとざっくり決めておきます。「絶対食べない」よりも、「70点をキープ」の感覚で続ける方が、長い目で見たときの身体づくりにつながります。オフの取り方 ── 「ちゃんと休む」のが前提強くなりたい選手ほど、「休む=甘え」と感じがちですが、オフの質が悪いとシーズン中の伸びが止まってしまいます。トレーニングと同じくらい、「どう休むか」も重要です。年末年始のどこかで、まずは1〜2日は完全オフの日を決めてしまいましょう。その日は、トレーニングも勉強も意図的に手放し、友達や家族との時間を優先し、スポーツから一度、頭を離す日と決めます。「不安だから毎日なにかしらやる」のではなく、「やる日」と「抜く日」を自分で決めておくこと。また、夜ふかしゼロで過ごすのは現実的ではないかもしれませんが、重要なのは「夜ふかしをしてもいいけれど、連続させない」という意識です。夜更かしした翌日は、短い昼寝や早めの就寝で立て直すこと。リズムの乱れをその都度、小さくリセットしていく。この積み重ねが、年明けのコンディションを決めていきます。メンタルセット──「気を抜かないけど、追い込みすぎない」年末年始へ最後に、メンタルのスイッチの置き方について。よく聞く「年末年始くらい、ゆっくりしようよ」という言葉を、そのまま受け取ると「全部ダラッとしてもいい」という合図になりやすくなります。トップを目指すなら、これを少し言い換えてみましょう。年末年始だからこそ、やることを絞って整えよう。全部やらなくていい。でも、何もしないわけでもない。そんなスタンスに、言葉ごとアップデートしてみるイメージです。また、SNSには年末年始もガンガン追い込んでいる選手の投稿が流れてきたりしても、本当に比べるべきなのは「他人」ではなく「去年の自分」です。去年の自分より、年末年始の過ごし方は少しでも良くなっているだろうか? 去年より、意図を持ってオフを取れているかどうか。1ミリでも良くなっていれば、それは立派な前進です。さらに、年明け、練習再開の「初日」に立つ自分を一度イメージしてみてください。体が軽いか重いか、表情が明るいかどんよりしているか、1本目のダッシュで「今年は違う」と自分で思えるかどうか。そのイメージを先につくっておくと、年末年始の小さな選択のたびに「締めるほう」を選びやすくなります。まとめトレーニングを完全なゼロにしないこと生活リズムを完全に崩さないことオフは「なんとなく」ではなく「決めて」取ること年末年始は、「気を抜きたい自分」と「気を引き締めたい自分」が同居する、少しむずかしい時期です。だからこそ、「ゆるオフ × 締めるポイント」を自分で設計できるかどうかが、来シーズンのスタートダッシュを静かに左右します。今年の終わり方と、来年の始め方。その両方を、“なんとなく”ではなく、自分で選びにいく年末年始にしていきましょう。参照1) Schmidt K, et al.: Prebiotic intake reduces the waking cortisol response and alters emotional bias in healthy volunteers.Psychopharmacology (Berl).2015.232(10):1793-8012) A Kato-Kataoka et al.:Fermented milk containing Lactobacillus casei strain Shirota prevents the onset of physical symptoms in medical students under academic examination stress.Benef Microbes. 2016.7(2):153-6