体も脳もぐんと発達する幼児期から学童期。「成長に必要なエネルギー」と「バランスの良い栄養素」を意識するのはとても大切です。ですが・・・「子どもにどんな食事がいいのか分からない」「うちの子、野菜は苦手…」「好き嫌いが多くて、栄養が足りているか不安…」未就学児〜小学生の子どもを育てるお父さん・お母さんなら、きっと一度は感じたことがある悩みではないでしょうか。でも安心してくださいね。栄養をしっかり摂ることは大切ですが、完璧に食べさせなくても大丈夫!子どもの発達の特徴や栄養摂取のポイントを知ることで、無理なく楽しく食育も進めていけます。目次 どうして子どもは好き嫌いが多いの?幼児期・学童期に必要な栄養素食事のポイント無理なく栄養を摂るには?栄養満点レシピどうして子どもは好き嫌いが多いの?2,3歳頃から好き嫌いが多くなったと感じる親御さんも多いはず。この時期は味覚も発達する上、子どもの自我が確立する時期です。なにより、意思表示をはっきりとできるようになります。そのため、今まで食べていたものでも「今日はいや!」ということがでてきます。実は、その「いや!」には具体的な理由があります。本能的な危険察知子どもは特に「苦味」や「酸味」に強く反応します。これは「毒や腐敗」を避けるための本能ともいわれています。特に苦みは少量でも感知できるため、幼いころは、これらの味を強く感じ、危険なものとして避ける傾向があります。味覚の敏感さ子どもの味覚は大人よりも敏感で、大人の約3倍強く感じると言われています。そのため、大人には気にならない味でも、子どもにとっては刺激が強く、食べにくいと感じることがあります。経験不足と知識の欠如子どもは食べても問題がないかどうかを判断する経験が少ないため、未知の食べ物に対して警戒心を抱きやすいです。食べ物の「おいしさ」は経験を通じて学ぶものであり、経験が少ないと好き嫌いにつながることがあります。発達段階と身体的要因噛む力や消化機能が未熟なため、硬いものやパサパサしたものが食べにくいことがあります。舌の送り込みが弱かったり、舌圧が弱かったりすることも特定の食品を避ける原因となる場合もあります。つまり、好き嫌いは 自然な発達段階なのです。無理に食べさせるよりも、「今はこういう時期だから」と、様子を見ながら少しずつ進めていくくらいで大丈夫です。とはいっても、栄養が十分にとれているのか気になりますよね。ポイントをおさえて、必要な栄養を無理なく摂れるようにしてみましょう。幼児期、学童期に必要な栄養素幼児期(1〜5歳)は、体が大きく成長する時期であるため、骨や筋肉、歯、血液を作る栄養素が特に重要です。学童期(6〜12歳)の時期は、そのあとの身体的成長期(思春期)への準備期間であり、健康な体を作るための食事習慣を確立することが大切です。タンパク質筋肉や骨、血液、歯を作る材料となるほか、体細胞の成長や修復、免疫機能の強化にも関わります。肉、魚、卵、大豆製品などから摂取できます。カルシウム骨や歯の材料となり、筋肉を動かすなど重要な役割を果たします。日本人は慢性的に不足しがちな栄養素でもあるため、牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、豆類などを意識的に摂りましょう。鉄分赤血球の形成や酸素運搬に不可欠で、脳の発達にも深く関わっています。鉄分が不足すると、認知機能や集中力の低下につながる可能性があります。赤身肉やレンズ豆、ほうれん草、小松菜、あさり、しじみなどが良いとされています。かつお節にも比較的吸収されやすいヘム鉄が含まれています。炭水化物体と脳を動かす主要なエネルギー源であり、脳の発達が著しい幼児期には特に重要です。ごはん、パン、麺類などの主食からしっかりと摂ることが大切です。脂質エネルギー供給源であると同時に、脳の発達にも不可欠です。特にオメガ-3脂肪酸のような健康的な脂質は、脳の発達や認知機能向上に役立ちます。魚やナッツ類から摂ることができます。ビタミン・ミネラル成長に不可欠な栄養素で、多様な食品からバランスよく摂取することが重要です。特にビタミンB1は炭水化物をエネルギーに変えるのを助け、ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあります。食物繊維スムーズなお通じをサポートします。食事のポイントバランスの取れた食事幼児も小学生も「主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物」の5つの料理グループを意識したバランスの良い食事を心がけましょう。しかし、毎回の食事でとなると、これはなかなか困難なこと。1日、または数日単位でバランスよくとれていたらOK。画像提供:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/濃い味付けを避ける幼児期の子どもの味覚を育てるために、薄めの味付けを意識し、食材本来の味を感じられるようにしましょう。濃い味付けや、人工的に作られた調味料や甘味料は、子どもたちには刺激が強く、果物や野菜の自然な甘みを感じにくくなります。好き嫌いと上手に向き合う無理に食べさせず、「残してもいいよ」と伝えることで、食事が安心できる時間になります。米粒ほどのほんの小さなかけらでも、食べられたときにはたくさん褒めてあげてください。味覚の慣れが進み、自信にもなり、次の挑戦につながります。また、とくに野菜であれば、カットする大きさや、調理の仕方で食感や味が変わります。薄切り、みじん切り、スティックなど、形を変えるだけで食べられるものもあったりします。ピックにさして、パーティーのように子どもが楽しめる工夫もいいですね!リズムをつけるおなかがすいていないと、どうしても1回の食事も小食になりがち。好きなものだけ食べて終わる。そうならないようにする為には、間食・おやつは、時間と回数を決め、だらだらと食べないようにしましょう。たくさん遊んでおなかがすくと、ご飯もしっかりと食べられるようになります。間食・おやつを、果物、乳製品、おにぎり、サンドイッチなどにして「補食(※)」とすると腹持ちもよく、栄養も補えます。※補食とは3回の食事では不足する栄養やエネルギーを補うためにとる食事のこと無理なく栄養を摂るには?食材に慣れていくことが大切なのは分かっていても、毎日苦手なものと向き合うとなると、子どもも疲れます。もちろん、親の私たちも大変根気がいるものです。それでは、一番重要な「楽しい食事」が遠のいてしまいますよね。そこで、挑戦もしながら、“こっそり、しっかり” 栄養をとってみてはいかがでしょうか。“こっそり、しっかり”のポイント野菜はみじん切りやすりおろしにして、ハンバーグやスープ、チャーハンに混ぜる果物や野菜ジュースでビタミンを補う朝食やおやつでチーズ・ヨーグルト・ゆで卵をプラスごはんを玄米つきごはんに。雑穀を混ぜるとさらに食物繊維やミネラルを補える栄養は「長い目」で見れば大丈夫。数日単位でバランスを意識すれば十分です。我が家にも1年生の女の子と年少の男の子がいます。同じ食卓を囲んでいるはずなのに、好き嫌いは全然違います。息子は離乳食の頃は何でも食べたのに、2歳になる少し前くらいから「イヤ!」と言う食材が急に増え、一時期は “野菜” というだけで食べなくなるほどでした。そんな息子も、今では少しずつまた食べるものが増えてきています。「好き嫌い」は悪いことではなく、本能でもあり、成長の途中でもあるのだということを知ることで、私も気分的にとても救われました。野菜を「これは野菜だよ」と出すよりも、ブレンダーで潰してスープに混ぜたり、細かく切ってチャーハンやパスタのソースに混ぜたりして、「おいし~!」と食べている時に何が入っているかという話をすると、少し驚いた顔をしながらも食べてくれたりもします。嫌だと思っていた野菜が、実はおいしかった…という経験をたくさんして、食の幅を広げてあげられたらいいなと思っています。お茶碗1杯で栄養満点!我が家の簡単炊き込みご飯一汁三菜は理想ですが、私もなかなか思うようにはできない一人です。そこで、「三菜も作らなくても、お茶碗ひとつに、栄養たっぷりならいいじゃないか!」と開き直っている我が家のレシピをご紹介します。材料は切って、ご飯と一緒に炊くだけ。味付けも簡単なので迷うこともなし。こどもたちも「おかわり!」と、私の心も満足な一品です♪材料(4人分)米 2合鶏肉 約100g人参 小1/2本きのこ(今回はえのき1/3袋と舞茸1/2パックを使用しました)油揚げ 1/2枚めんつゆ 大さじ6(ストレートの場合)塩 小さじ1/2~材料はお好きなもの、量はだいたいでOKです!めんつゆはお使いのものによって量を調整してくださいね。(例:2倍濃縮→大さじ3)作り方お米は洗って30分ほど(冬は1時間)浸水させておく材料を小さめに切る※えのき1センチほど、舞茸も小さめに裂くと子どもも食べやすいです!米をザルにあげ、炊飯器の内釜に入れ、めんつゆと塩を入れる2合のメモリまで水を入れ、最後に切った具材を上にのせて炊く炊きあがったら、しゃもじで鍋底からふんわりと持ち上げるように混ぜるお茶碗に盛って完成!お好みで塩(分量外)をかけても◎ポイントめんつゆを先に入れてから、水をいれること。そして、水を入れてから具材をのせること。ここをおさえていたら、失敗することはほぼありません。私は、具材の量もいつも適当…。日によって多かったり少なかったり。それでもおいしく炊けるので大丈夫!あとは、炊きあがったあとにやさしく空気をふくませるように混ぜること!ふっくらの度合いが変わります。お持ちの方は、ぜひ土鍋でも炊いてみてくださいね!その他のおすすめ具材焼き鮭、牛肉、ひじき、こんにゃく、しめじ、ごぼうなど、色々な具材を組み合わせて楽しんでください!さいごにいかがでしたでしょうか。毎日の大切にしたい食事だからこそ、無理なく続けられるといいですね。子どもも大人も楽しい食事、そして健やかな体を目指して、食習慣を見直してみませんか?