ダイエット中やトレーニング後、なんとなく手に取ってしまうゼロカロリー飲料。「甘いけどカロリーゼロならいいでしょ」と思って選んでいる方も多いのではないでしょうか。ところが最近、人工甘味料※の一種「スクラロース」が、かえって脳の空腹中枢を刺激し、食欲を高める可能性があるという研究が注目されています。特に、コンディション管理が重要なアスリートや、ボディメイクに励む方にとっては見逃せない内容です。本記事では、アメリカ・CNNが報じた最新の研究をもとに、そのメカニズムと対策についてわかりやすく解説します。※人工甘味料・・・砂糖の代替として人工的に合成された甘味成分。スクラロースやアスパルテームなどがよく知られている。目次ゼロカロリー飲料が“食欲を増やす”?知られざる甘味料の落とし穴「甘いのにエネルギーがない」——脳が混乱する理由研究では、食欲が約17〜20%増加!?甘味料ゼロにしなくても、“量とタイミング”を見直してみようまとめゼロカロリー飲料が“食欲を増やす”?知られざる甘味料の落とし穴最近の研究で注目を集めたのは、アメリカの報道機関 CNN による2025年4月の報道です。CNNとは、世界中の最新ニュースや科学研究を扱う国際的なメディアで、健康・医療分野でも信頼性の高い情報を提供しています。報道によると、南カリフォルニア大学の研究チームが、人工甘味料「スクラロース」の脳への影響を調べた結果、食欲が増すという傾向が見られたという報告をしました。では、なぜ “ゼロカロリーなのに食欲が増す” のでしょうか?その背景には、私たちの脳の働きが大きく関わっています。「甘いのに、エネルギーがない」——脳が混乱する理由私たちの脳は、本来「甘味=エネルギー(糖分)」として認識するようにできています。しかし、スクラロースのような人工甘味料にはエネルギー(カロリー)がほとんど含まれていません。そのため、「甘い味はするのに、エネルギーが入ってこない」という状態が生まれ、脳はその“矛盾”に混乱を覚えます。この混乱が、「まだ足りない」「もっと食べなきゃ」といった食欲のシグナルを強める要因になると考えられています。研究では、食欲が約17〜20%増加!?研究チームは、次のような実験を行いました。1)被験者に以下3種類の飲み物を、別々の日に摂取してもらいます:水砂糖(ショ糖)入りの水スクラロース入りの水その後、脳の活動をfMRI(機能的磁気共鳴画像法)で測定したところ、スクラロースを摂取した際に、空腹感をつかさどる「視床下部」などが強く反応していたことがわかりました。さらに、「食べたい」という欲求や報酬系に関わる「前帯状皮質」などの領域も活性化。脳が“今すぐ何かを食べたい”という判断を後押ししている状態にあったと考えられています。その結果、スクラロース摂取後は食欲が17〜20%も高まる傾向が見られたというのです。甘味料ゼロにしなくても、“量とタイミング”を見直してみよう!とはいえ、「甘いものをすべてやめなければ」と構える必要はありません。大切なのは、甘味料との“距離感”を見直すことです。 ちょっとした工夫でできる、甘味料との付き合い方普段の飲み物は、水や炭酸水+レモンにする →甘さがなくても爽快感があり、自然な満足感が得られます。運動後は、自然な糖分を含む食べ物でエネルギー補給 →バナナ、オートミール、ナッツなどは血糖値の安定にも◎。原材料表示をチェックする習慣を →「スクラロース」「アスパルテーム」「アセスルファムK」などが含まれていないか確認しましょう。こうした小さな選択の積み重ねが、日々の食欲や体調を安定させ、長期的な成果につながっていきます。まとめ「ゼロカロリーだから大丈夫」——その思い込みが、実は身体づくりの足を引っ張っているかもしれません。今回紹介した研究は、私たちの“当たり前”を見直すきっかけをくれる内容でした。日々の飲み物や食事は、すべてがコンディションやパフォーマンスに直結する“トレーニングの一部”。だからこそ、自分の体が発しているサインに敏感になること、そして「甘さ」とどう向き合うかを意識することがとても大切です。甘味料を完全に排除しようとするのではなく、「何を、どれくらい、どんな目的で摂るか」を見極めながら、自分に合った選択をしていきましょう!その積み重ねが、あなたの強さと美しさを支えてくれるはずです。参考文献1) CNN. (2025). ダイエット飲料に含まれる人工甘味料、食欲増進させる可能性 新研究.