最近一段と寒くなってきて、身体が冷える季節となってきました。寒くなってくると、身体が温まり動きやすくなるまでに時間がかかりますよね。それだけではなく、身体が温まっていない状態で運動をすると、怪我に繋がりやすくなってきます。今回は、怪我の予防はもちろんのこと、寒い季節の中でもコンディションを整え、高い運動パフォーマンスを発揮するためには、何に気をつけていけばいいのかを紹介します。目次アスリートにとって寒さのリスクとは必ずウォーミングアップをしよう栄養面で気をつけるべきポイントまとめアスリートにとって寒さのリスクとは寒い季節は、風邪やインフルエンザなど感染症に罹ったり、筋肉が縮こまることで動きに制限がかかり、関節や筋肉を痛める怪我をしやすかったり、寒さで神経の反応が鈍ることで身体が思ったより動かないこともあります。寒さはあまり身体には影響がないと思っている人が意外といますが、そんなことはありません。この寒い季節も身を引き締めて行動していく必要があります。必ずウォーミングアップをしようさて、寒い季節には、洋服をなるべく多く着ることで、身体を冷やさないようにするという方法がありますが、運動をする前にウォーミングアップをして身体を温めることが、パフォーマンスや怪我をしないためにとても大切になります。ウォーミングアップは、身体を温めることや可動域を確保するため、怪我を予防するために行うことはご存知かと思いますが、今一度ウォーミングアップの効果を改めてご紹介しようと思います。1)体温や筋肉の温度を上昇させる基本的に、寒い時には、身体は血管を収縮させ、血流を減らし身体の熱を逃がさない様にしますが、運動によって生まれた熱エネルギーによって、身体を温め体温や筋肉の温度を上昇させると血管が拡張して血流がよくなります。それだけではなく、血流がよくなることで酸素の供給がスムーズに行われるようになるため、身体も動きやすくなります。関節の可動域を広くする筋肉の温度が上がることで、筋や腱を柔らかくすることができるため、関節可動域が広がります。そのため、思ったより足が広がらない、足が上がらないということを無くしたり、運動中の過度な伸びやねじれによる肉離れや腱断裂といった障害を未然に防ぐことができます。神経の伝達を促進させる身体を先に動かしておくことで中枢神経の興奮を促し、身体をすぐ反応させる(筋肉を素早く動かせる)よう準備状態にすることができます。心拍数と呼吸数を徐々に増加させる軽い運動から始めることで、徐々に心拍数や呼吸数を主運動に近づけることができます。これは心臓や肺への急な負担を減らすために必要になります。心の準備をするこれから行う運動のイメージをしながら、ウォーミングアップをすることで、精神的に余裕を持って運動に取り組むことができる。寒い季節、栄養面での気をつけるべきポイント冬は寒さによって汗をかきにくいため、つい忘れがちになりますが、気づかないうちに体から水分は失われていきます。そのため、こまめに水分を補給することを心がけましょう。この、“こまめな水分補給”は、喉の粘膜が潤うことで寒い季節の乾燥から守り、ウイルスからの感染症の対策にも繋がります。また、寒い場所での持久力スポーツ競技の前には、グリコーゲンの貯蔵量(炭水化物を多く摂ることで肝臓や筋肉に糖分を溜め込む)を十分に補充しておく必要があります。2) グリコーゲンは運動の際にエネルギー源として働くため、グリコーゲンが不足すると、エネルギーを生み出すことができなくなりその結果、パフォーマンスの低下に繋がります。グリコーゲンを効率よく貯蔵する方法として、カーボローディングという方法がよく知られていますが、少し話が逸脱してしまうためここでは紹介しません。そして、運動後は糖質、たんぱく質、ビタミン類などを、身体のリカバリーのためにしっかりと補給することも、パフォーマンスを高めていくためには重要になりますので、忘れずに!まとめ今回紹介したこと以外にも睡眠や休息、入浴などは、寒さに関係なく日常的に怪我予防や身体を休ませるためには重要です。アスリートにとって体調面を整えることは、パフォーマンスに直結するため、普段から感染症や体調を崩さないよう行動して、寒さにも負けず、コンディションをいい状態を保つ意識をしていきましょう。今回の内容を踏まえて、運動、栄養、休養のバランスが整っている状態を保つ意識ができていれば、パフォーマンスの向上にも繋がってきます。試合でお互いの力が均衡していた時、最後の踏ん張りが結果に繋がるといった状況が訪れてきます。その際に、今回のような日常的な意識の差も影響してきます。いつも怪我しないからと、ウォーミングアップを少し手を抜いたり、栄養面もそんなに気にしていない人は、まずは寒い季節にコンディションやパフォーマンスをいい状態にしていくために、これを機に改めて取り組んでみましょう。参考文献1) 公益財団法人長寿科学振興財団 .:ウォーミングアップの目的と方法 . 20192) Hannes Gatterer et al .:Practicing Sport in Cold Environments: Practical Recommendations to Improve Sport Performance and Reduce Negative Health Outcomes. Int J Environ Res Public Health ,2021 , 18 (18) : 9700