今回は、食事や栄養に関する話に加えて、トップアスリートが競技中にどのように栄養や睡眠を管理しているかについて触れた論文が報告されましたので、その内容にも少し触れながら、自己管理についてお話ししたいと思います。目次・改めて考える、アスリートにとって食事とは・世界トップレベルの選手は競技中の栄養状態や睡眠時間の調整まで考えている!?・まとめ改めて考える、アスリートにとって食事とは食事は、トレーニングや試合で自分の身体や脳を動かし、判断力、思考力、行動力などを最大限に発揮するために必要な栄養素 (炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン・ミネラル等)を摂ることができます。睡眠などの休息が十分に摂れていても、食事を十分に摂れていなければ、競技で成功するための理想的な身体はつくることができず、試合中のパフォーマンスも最大限に発揮できません。また、食事には自分が目指す身体づくり (体幹がしっかりした身体、見た目からわかる筋肉、フィジカルの強さetc)やその身体づくりに欠かせない疲労回復・怪我の予防の役目も担います。アスリートは、活動量が増えることにより、エネルギー消費量が増え、活性酸素の増大により身体への負担も大きくなります。競技レベルがあがると、トレーニング強度も上がり試合でのプレッシャーも大きくなる傾向があるため、ストレスも大きくなり心身共に消耗が激しくなっていきます。活動量に見合った食事が摂れていないと、理想の身体づくりができないだけではなく、疲労が溜まり体調を崩したり、ケガのリスクが高くなったり、集中力も低下し、質のよいトレーニングの継続が難しくなってしまいます。そのため、食事もトレーニングの一環として意識的に取り組んでいくことが大切になってくるということです。今一度何のために、食事をしているか考えてみましょう。そして、食事についてわからないことがあったら、スポーツ栄養士や管理栄養士、栄養士の意見を聞くことも大切です。チーム内でそういう環境がある場合は、ぜひフルに活用しましょう。世界トップレベルの選手は競技中の栄養状態や睡眠時間の調整まで考えている!?身体をつくるために、十分な睡眠や適切な栄養摂取を心がけていると思いますが、「試合中に最高のパフォーマンスを発揮するために」まで意識して行動できているでしょうか。試合中にバテないために練習中に怪我をして試合に影響が出ないように試合中に判断力や集中力を切らさないようにというところまで考えられていますでしょうか。意外と、食事を摂ることや睡眠を摂ることが「試合中」に影響するということまでは忘れてしまうことがあると思います。それだともったいないです。自分の食事や睡眠とトレーニングを別々で考えるのではなく、全て繋がっているという意識を持って行動してみてください。例えば、最近アーチェリーのトルコ代表チーム (トッププロ)に対して調査をした研究 (1があるのですが、その調査の結果、アーチェリー選手はトーナメント中の毎日の身体負荷に応じて、摂取エネルギーの量を調整できるということやトーナメント中の水分量を適切に保つこと、睡眠障害を最小限に抑えることもできることが判明しました。これらの結果は、「なぜこの人たちがトッププロとして活躍できているか、成功を収めているかの説明をするのに役立つ」ということが記されていました。ちなみに、アーチェリーという競技は心理的な要求が高く、勝敗は、不安、緊張、ストレス、プレッシャーに大きく左右されることから精神的なスポーツと言われています。それだけではなく、アーチェリーのパフォーマンスには、細かい動きのコントロール、上半身の強さ、持久力が必要になってくるそうです。また、競技自体1日3-4時間続き、今回調査したトーナメントでは4日間行なわれました。まとめこのテーマは、アーチェリーに限らず、すべてのアスリート、そして、さらに上を目指すあなたにとって大切なことです。「自分には関係ない」と思ってしまえば、成長はそこで止まってしまいます。自分の限界を少しずつ超えていくためには、今回の話やコーチからのアドバイス、セミナーで学んだことを「自分ごと」として捉え、何か真似できることはないか、さまざまな角度から吸収し、それを実践していく力が必要です。トッププロのアスリートたちがその地位に到達したのは、もちろん努力の結果ですが、彼らの成功は目に見える結果だけではなく、食事方法や睡眠量、トレーニングの内容やその理由といった、目に見えない努力についても考えていきましょう!参考文献1) 髙田邦夫.: バランスの取れた熱中症及び夏バテの予防法の提案.医実報告 . 2023,63(4)/64 (1) : 1〜152) 厚生労働省 : 日本食事摂取基準 , 20203) JASPO 日本スポーツ協会 : アスリートの栄養摂取と食生活