今年の春〜夏もさまざまな感染症が流行っていますね。「風邪やインフルエンザに負けないように免疫力をつけよう!」というような話をよく聞くとは思いますが、具体的に「免疫をつけるためには何をすればいいのか?」大事な試合の前に体調を悪くしたくない、そこのあなたへ!こんな悩みの解決策をご紹介します!<目次>・免疫と免疫力を知ろう!・実は、アスリートは風邪をひきやすい?・ウイルスの侵入を防ぐ身体の働き!・風邪やインフルエンザを防ぐための基本・まとめ「免疫」と「免疫力」を知ろう!「免疫」とは簡単にいうと、体内に侵入した病原体を異物(自分以外のもの)として認識し、排除することで、自身の体を正常に保つという働き(機能)のことを指します。1) 。この機能(免疫機能)の力のことを「免疫力」と考えていいでしょう。「免疫力」というのは握力のように直接測ることができず、科学的にも厳密には定義がない言葉になっており、一般的に「ウイルスなどの感染症や病気から免れる力のことを免疫力」2)3)と言われています。そして、風邪やウイルスに負けないようにするには、ウイルスを排除する機能である免疫機能をうまくコントロールする必要があります。「なんか調子悪いな...」「風邪引いたかも?」と感じる時は、身体の免疫機能が落ちている合図かもしれません。アスリートは実は風邪をひきやすい!?スポーツ選手といったら身体を鍛えていたり、体力が有り余っていて風邪やインフルなどの感染症にかからないと思われることもあるそうですが、実は強度の高い運動を行うアスリートは、上気道感染(かぜやインフエンザ)に対して非常に弱いことが知られています。4) 特にアスリートは、毎日強度の高い練習を繰り返しているため身体にかかる負荷が強いからです。強度の高い練習は、気づかないうちにコルチゾールといった免疫機能に関わる物質や身体に悪さをする炎症性サイトカインの過剰な分泌により身体へ負荷がかかります。身体の機能や負荷を回復させるために、練習後の食事やお風呂、睡眠によって身体を休めることが大事になります。また、練習後などの身体が疲れている時に、ウイルスや細菌が侵入してきても身体が負けないように、常日頃から栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠時間を確保しておくことが日頃から免疫力をUPさせるために大切です。免疫力をUPさせる食材としておすすめ食材として...抗酸化作用のあるビタミンA、C、Eを多く含む食品例)にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、小松菜などの緑黄色野菜、じゃがいも、ブロッコリー、ピーマン、キャベツ、パプリカ、アーモンド、ごま などを取り入れることがおすすめです。ウイルスの侵入を防ぐ身体の働き!目や鼻、口、気管などの粘膜がボロボロだと簡単にウイルスや病原体の侵入を許してしまいます。侵入を防ぐためには、粘膜を丈夫にしておくことが大切です。身体に侵入した後にウイルスをやっつけるのではなく、侵入を未然に防ぐために粘膜が必要ということから、「粘膜免疫」などと呼んだりします。この粘膜を丈夫にするポイントとして、栄養不足や乾燥、自律神経の乱れに注意することが重要になります。栄養素としては、ビタミンA、ビタミンD、亜鉛などの栄養素が重要5)になり、乾燥を防ぐために水分補給、自律神経を整えるために十分な睡眠が重要になります。特に今はYouTubeやSNS、動画視聴アプリなど夜更かしのしやすい環境といえばそうかもしれません笑 私もYouTubeとか見たくなります・・・。ただ、睡眠不足はそれだけで自律神経が乱れてしまい免疫機能も乱れにも繋がりますし、疲労が残ることにも繋がります。そのため、十分な睡眠やできたら睡眠の質まで意識してみましょう!また、粘膜を覆っている粘液や気管にある線毛も重要な働きをしています。粘膜から分泌されるネバネバした粘液が、口や鼻から入ってきたウイルスたちを捕獲し、気管支に存在している線毛の動きによって、咳や痰とともに体外へ出してくれます。そして、粘液自体にも主成分の水のほかに抗菌作用のあるタンパク質が含まれているため、ウイルスや病原体から守ってくれる役割ももちます。そのため、粘膜を丈夫にし侵入させないことももちろん大事ですが、粘膜まで侵入される前に粘液や線毛の働きを正常にして、侵入される前に排除してしまうことも大事です。ウイルスたちを侵入させないという意味で、マスクや手洗い、うがい、水分補給(乾燥予防)が大切になるということですね!かぜ・インフルエンザを防ぐための基本の予防方法5選!①手洗いうがいをする手洗いうがいは、手についた病原体を落とすために手を洗い、呼吸によって喉の粘膜に付着した病原体を洗い流すためうがいをすることが目的です。ちなみにハンドソープで10秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎを2回繰り返すのが手に残るウイルス数が少ないことが報告されています。6)②マスクをつける大事な試合の日が近い時やインフルエンザや風邪などが流行っている時、意識的にマスクをして、ウイルスや病原体の侵入を防ぎましょう。また、自分が風邪やインフルエンザの疑いがある時や感染した時、他の人に移さないようにすることも大切です。③水分補給を心がける粘膜を乾燥させないため、常日頃の水分補給を意識しましょう。乾燥は、粘膜が正常に機能しなくなることに繋がり、粘膜を守ってくれる粘液の分泌の低下にも繋がってしまいます。④バランスの取れた食事を心がけよう!免疫力を高めるために、最近では腸の環境を改善することが注目されています。(2 そのためには、栄養バランスの良い食事、規則正しい食事が求められます。ヨーグルトや納豆などの発酵食品のほかに、オリゴ糖、食物繊維を豊富に含む食べ物を食べ腸内環境を整えましょう!そのほかに、免疫細胞といった免疫そのものを正常に働かせるために、タンパク質やビタミンAやEなどのビタミン類などを意識して摂取しましょう。⑤十分な睡眠時間/睡眠の質を心がける!睡眠不足は、自律神経の乱れや脳機能の回復、免疫機能の乱れにより疲れが抜ききれなかったり、免疫機能の低下に繋がってしまいます。お風呂にしっかり浸かることで、自律神経を整えることや寝る前に携帯を触ることを避けるといった良質な睡眠が取れるよう心がけ、十分な睡眠時間も確保することを心がけましょう!まとめ大事な試合に向けてや常日頃ベストコンディションで動けるように、免疫力を高めるため常日頃からケアを心がけましょう。参照1. 高橋 宜聖 ; ワクチンと免疫の仕組み-新型コロナワクチン3買い目はなぜ必要?:厚生労働省,20212. 公共財団法人長寿科学振興財団 ; 免疫力を高める食事とは,20223. 戸塚護 : 食品免疫学のプロがかいたウイルスに負けない食事術 4. 早川 智 , 早川 純子 ;スポーツと免疫・感染症 , 日大医誌,2021,80:11-135. 溝口 徹 : ウイルスに強くなる粘膜免疫力6. 生労働省 手洗いの時間・回数による効果